2Nov

経皮毒とは?その定義と背景
「経皮毒」っていう言葉を知ってますか?これは薬学博士の竹内久米司氏や稲津教久氏による著書『経皮毒―皮膚からあなたの体は冒されている!』で使われた造語で、日用品に含まれる合成化学物質が皮膚から体内に吸収され、分解されずに蓄積し健康を害する。場合によっては胎児にまで影響を与えるという仮説です。
2005年に出版されたこの書籍は一部で話題を呼びましたが、ネット上では「経皮毒」に対する否定的な意見も多く見受けられます。「ニセ科学」「デマ」「陰謀」などと一蹴されることも少なくありません。
とはいえ、合成化学物質が原因と思われるトラブルを抱える人が増えている現状において、誹謗中傷的に経皮毒を一方的に切り捨ててしまってよいのか?インティバリが提案する「疑わしいモノをできるだけ避ける」ライフスタイルの観点から改めて考える価値があると考えます。
経皮毒を否定する側の主張
そんなわけで、まず「経皮毒」に対する一般的な反論を整理してみます。概ね、
- 化粧品やシャンプーに配合されている合成化学物質は政府により使用が認められている物質であり安全性が確認されている。
- 皮膚にはバリヤー機能があり、日用品に配合される成分は皮膚から体内に侵入しない。
- 経皮毒は化学的に否定されている。
といった感じです。皮膚を通して治療する塗り薬や貼り薬などはあり、皮膚から体内に物質が吸収される経皮吸収という科学的プロセスは実在しますが、でも、だからと言って「化粧品やシャンプーに配合される微量成分が深刻な健康被害を引き起こす」という主張は言い過ぎだし科学的根拠も不十分でしょう。
しかし、一方で、それが安全を意味するのか?と言えば、そこは疑問が残ります。
経皮毒を疑いたくなる事例
実際、経皮毒を疑いたくなる事例もあるんですよね。
2016年、米国で薬用石けんの販売が禁止に
たとえば、2016年アメリカにおいて、抗菌・殺菌作用をうたう薬用石けんの販売が禁止になりました。この薬用石けんに配合された殺菌剤が血液・鼻水・母乳などから検出されたと発表され、該当する成分が配合された薬用石けんの販売が禁止になったわけです。
この殺菌剤などが体内に摂取されると抗生物質が効かない耐性菌が体内で増殖するリスクがあるそうなのです。耐性菌が体内に増えると、免疫力が低下した際にも薬が効かず感染症にかかるリスクが高くなることは知られています。
日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤が体内に吸収されることが明らかに
(2019年5月追記)また、アメリカで、日焼け止めやリップクリームに配合されている紫外線吸収剤という合成化学物質は皮膚から体内に吸収されると発表されました。これまで紫外線吸収剤は肌から体内に吸収されないと考えられていましたが、この臨床試験により紫外線吸収剤が皮膚から体内に吸収されることが明らかになっています。
ハワイで日焼け止めの販売が禁止に
また、ハワイではサンゴ礁の保護を目的に日焼け止めの販売を禁止する法令が可決されています。サンゴの破壊と合成化学物質の因果関係が科学的に証明されたわけではありません。それでも状況証拠を見ての判断で英断と言えると思います。
まとめ
このように、これまで経皮吸収しないと言われていた合成化学物質の中には、後に経皮吸収することが判明した事例や、その毒性を疑いたくなる現状があります。安全が確認されている範囲内の微量成分でも長期的に摂取し続けたらどうなるか?そこも解明されていません。
化粧品だけに限らず合成化学物質が原因と思われるトラブルを抱えている人は多いように思います。必要以上に経皮毒を恐れる必要はないと思いますが、身体への影響については個人差があることですし、自分の身体に合うものを選ぶことが大切かと。
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